使ってますか?「クラウド会計」

日頃の会計作業はどうされていますか?

10人に満たない人数で運営されている「超」小規模企業向けの当コラムですが、企業規模を考えると専任の経理、しかも実務経験者となると費用的に割に合わず、そもそもまともな求人も少なく、結果的に社員か役員(特に創業者の奥様など)がされているケースが少なくありません。

また、スタンドアロン型(インストールして社内のみで使用するタイプ)の本格的な会計ソフトは高額で、安価なパッケージ型の会計ソフトで済ませている場合もあるかと思います。

私も経験がありますが、取引先が多くなるにつれて、会計ソフトの入力作業は倍々ゲームで忙しくなっていきます。

また、ソフトの性質上、担当以外は(社長も含めて)怖くて触ることができない、という場合もあり、補助金の申請などで急遽データが欲しい時にその人がいないと話が進まないということも珍しくありません。

ご存じですか?「クラウド会計」

ひょっとしたら付き合いのある税理士さんなどから「クラウド会計にしませんか?」などとお話を聞かれているかもしれません。

「クラウド会計」とは、クラウドサーバと呼ばれるインターネット上のスペースで作動する会計ソフトのことを指します。

クラウド会計は10年ほど前から存在していましたが、当時はメジャーではなく、セキュリティに対する不安もかなりなものでした。
※セキュリティに関しては後述しますが、絶対安全ということはありません。

しかし、クラウドに関する理解が進んだことと、コロナウイルスに端を発するテレワークの推進、フリーランスなど個人事業主の増加を背景にクラウド会計は急速に広がりを見せています。

「超」小規模企業にとってのクラウド会計3つのメリット

少数人数で運営されている「超」小規模企業は特にこのクラウド会計を行うべきだと私は考えています。
そう思う理由は以下の3つです。

タブレットがあれば、どこでも、いつでも閲覧可能

パソコンはいろいろとできる代わりに持ち運びが大変で、「ちょっと気になったから」だけではわざわざ開く気になりません。

しかし、クラウド会計であればインターネットさえつながっていれば、機器を問わず閲覧が可能です。なので、「今月の入金どこまで入っているかな?」、「あの支払い、したっけ?」と思ったらその場で確認が可能です。

あえて「タブレット」としたのは、スマホだと視野が狭く、見る気にならないというケースがあるためです。
余談ですが、タブレットがあればちょっとした調べもの、資料の提示など利用幅が広いので個人的にはおすすめです。

権限の設定次第では閲覧専用ユーザーを作ることができるソフトもあるので、間違って操作することもなく、安心です。

経営者、もしくはそれに準ずる人が数字を即確認できる仕組みは、非常に重要です。

データの損失リスクが少ない

データの取り扱いに関して、最も注意を払うべき点が「データの損失」です。なくなってしまっては補助金や融資はおろか、年度末の決算や確定申告までできなくなってしまいます。

クラウド会計はクラウドサーバ上にあり、クラウドサーバを提供している会社、例えばAmazonの提供しているAWS(アマゾンウェブサービス)などはあらかじめデータを離れた2か所以上に常時バックアップしているため、データの損失リスクは限りなく低いと言えます。

また、CSVという形式で入力内容を取り出す(エクスポート)機能を備えているため、万一に備えて自社のパソコンにデータだけ残しておくことも可能です。

各種連携機能がある

これはクラウド会計ソフト次第ですが、クレジットカードや銀行口座、果てはAmazonアカウントなどと連携が可能です。

通常、クレジットカードなどの使用履歴などを確認するのは専用サイトに行かないとできませんが、クラウド会計ソフトと連携させることで、定期的に何に使用したのかを確認することができます。

また、そのまま記帳もできるので、入力担当も使い方さえ覚えれば大幅に業務を削減でき、ミスも減ります。

クラウド会計ソフトで気を付けたほうが良いこと

まさに「超」小規模企業のためにあるかのようなクラウド会計ソフトですが、注意点が全くないわけではありません。

以下にご紹介しますので、必ずご確認ください。

パスワードなどの管理はとても重要!

「どこでも、いつでもアクセスできる」というのがクラウド会計ソフトのメリットですが、それはすなわち、IDとパスワードの管理は他のパスワードよりも重要ということを指します。

普段使いしているパスワードは極力使用しないことをお勧めします。

ただ、電話などとリンクさせる「2段階認証」も実装されているので、万一不正アクセスされても、容易に突破できないようになっていますので、昔に比べると圧倒的にセキュリティは高くなっています。

通信環境は必須です

クラウド会計ソフトの性質上、インターネットとつながないと力は発揮できません。

ただ、通信量自体は基本的に少ないので、通信環境がなければ、最悪スマホのテザリングでも問題はないと思います。

ユーザー管理はしっかりと行う

操作に不慣れな方がうっかり入力してしまうと、トラブルの元です。

閲覧する人は閲覧者の権限にしっかりと設定しましょう。

また、退職した、もしくは退職が確定している人のユーザー権限は速やかに削除しましょう。そのままだと外部からのアクセスが可能になってしまいます。

費用は月額約3,000円

クラウド会計ソフトは多少の料金の差はあれど、小規模企業向けであれば大体3,000円ぐらいで契約できます。

毎月の費用と考えると重く考えがちですが、これで人の手が空き、経営の判断スピードが上がるなら決して高い金額ではないと思います。

おすすめクラウド会計ソフト

会計ソフトは種類がいろいろありますが、個人的にはメジャーなところを選ぶのが無難だと思います。

メジャーなものは利用者が多く、操作に不安があっても検索が容易だからです。

マネーフォワード

経理の知識が多少程度ある場合にはこちらがおすすめ。スタンダードな会計ソフトに近い仕様でほかの会計ソフトからの乗り換えがしやすいようになっています。

クラウド型会計ソフト マネーフォワード クラウド会計

個人的には、店舗があってしっかりした業種の方が導入されているイメージがあります。

freee

経理の知識がなくてもある程度のことはできるクラウド会計ソフト。ただし、入力方法が独特なので、慣れるのに少し時間はかかるかもしれません。

【開業freee(フリー)】

こちらは、開業したての方やフリーランスなどのごくごく少人数での事業でよく使われているように思われます。

ちなみに、私はfreeeです。事業用のクレジットと銀行口座は完全に連動させています。

「超」小規模企業はクラウド会計がベストの選択です!

10人に満たない「超」小規模企業では、会計の専任担当を作るのは難しいでしょう。

その反面、補助金などの関係で経営データを利用する頻度は、年を追うごとに増えてきているように感じます。

なので、少しでも効率的に動くことができるように、と考えるとクラウド会計がベストの選択肢だと私は考えています。

他の方も会計ソフトに関してはかなり詳しく書かれていますので、ぜひいろいろと検索してみてください!