「超」小規模企業とは?
国が定めた分類によると、一般的に小規模企業とは、
・製造業、その他 → 20人以下
・商業、サービス業 → 5人以下
となっています。
しかし、過去に見てきた企業の状況から考えると、「10人以下」という区切りで、経営が大きく変わっているように感じました。
今回は、なぜ10人以下の「超」小規模企業が他の企業と違うのか、という点について解説していきたいと思います。
1,固定の経理担当がいない可能性が高い
業種によって違いはあっても、会社の組織を維持するのに必要な部署は基本的に変わりません。
代表取締役(社長)・・・当然ですが、いないと企業は成り立ちません。
営業担当(販促担当)・・・訪問営業にしろ、ルート営業にしろ、売る人がいないと始まりません。
製造担当(もしくは仕入れ担当)・・・売るものがないと売り上げは上がりません。
ここまでが、企業として最低限の人員構成です。経理はいないの?と思うかもしれませんが、意外といないケースが多いのです。
税理士事務所や会計事務所などに記帳を外注することで、経理担当分の人件費を割くことができます。
ここがポイントなのですが、20人程度の規模の会社ともなれば、結構な確率で固定の経理担当がいます(プラス雑用係だったりはしますが・・・)。その場合、会社の資金管理などは経理担当の方で行っており、社長は報告を確認しながら会社の方針や銀行との折衝を行うことになります。
しかし、10人以下の超小規模企業においては、経理データの大半は社長の頭の中にあることが多いため、きちんと経営データが整理されていないケースが散見されます。そのままでは行き当たりばったりになりかねないので、客観的に見つめられるように見える化が必要になります。
この時点で、超小規模企業は他の企業と戦い方が変わってくるのです。
2,家族経営
別に超小規模企業に限らず、家族経営の企業は至る所にあります。
しかし、とりわけ10人以下の超小規模企業は夫婦+子供という家族構成での家族経営となっているケースを多く見かけます。
その場合、経営者家族とその他従業員の人数差が少ないため、その他従業員が疎外感を感じやすくなったり、業務に偏りが出たりします。
また、家族経営だから家族が一枚岩かというと、案外そうでもありません。
コスト的に融通が利きやすいというのが家族経営の最大のメリットですが、各社員(家族含む)の人間関係のケアはむしろ大人数の会社より難しいかもしれません。
3,組織化されず、一人ひとりの能力に左右される
20人程度社員がいれば、「営業部」「経理部」「製造部」など、部署化できますが、超小規模企業においては、その人ひとりが専門にその業務にあたることが多くなります。
そのため、仕事が属人的になりやすく、急病などで会社がフリーズしてしまう危険性を多くはらんでいます。
また、人数的に多能工化が要求されることになるので、ある程度様々な場数をこなした人であればマルチに活躍できますが、能力に幅がない方は仕事をこなすのが難しくなりがちです。
これらのことから、いつでもお互いの仕事が交代できるような情報共有が通常の企業に比べて大切になってきます。
「超」小規模企業なりの工夫は必須
「もっと人がいればこんなことができるのに・・・」という思いを抱く超小規模企業は多いかと思います。
社長が営業、経理をやっているケースもあるので、忙しくて頭の処理が追い付かないということもあるのではないでしょうか。
しかし、人件費を最小限に抑えられるのが超小規模企業の最大のメリットですので、安易に人海戦術に走らず、社員数に応じた仕組みづくりを行いましょう。
今後の記事では、デジタル化を含め、10人以下の超小規模企業が生き抜くための知識や手段について解説していきます。
次回以降の記事も読んでいただければ幸いです。それでは、また。
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