2021年になりました。コロナウイルスの影響はいまだにとどまることを知らない状況です。
多少の不景気なら「ピンチをチャンスに!」と思いもするでしょうが、今回は本当にシャレになっていません。
政府がデジタル化に乗り出したのは必然とも言えますが、小規模事業者、とりわけデジタルにかかわらずやってきた事業者にとっては、「何となくやった方がいい気がするけど、何するの?」となっているのではないでしょうか。
そこでこの記事では、小規模事業者にとってデジタル化で何ができるか、という点について解説いたします。
見える化
「見える化」はデジタル化と相性が良いですが、一口に見える化と言っても、種類があります。
作業の見える化
現場の改善などでよく言われているこの言葉、よく言われているものの、やろうとすると正直手間がかかるものです。
農業系で言えばGAP、飲食系で言えばHACCPに代表されるような手順の明確化がそれにあたります。
手順をマニュアル化する際、地道に書き出すのも大切ではありますが、動画にまとめてしまえば視覚的にも伝わり、呑み込みが早くなります。後述しますが、宣伝(プロモーション)の手段としても動画は有効ですので、簡単なレベルでよいので社内にできる人を育成しておくと何かと便利です。
経営数字の見える化
また、見える化するのは経営数字についても同じことが言えます。
小規模事業者の場合、固定の経理職員を置いているかと言えば、必ずしもそうではありません。会計事務所や税理士事務所に入力からお願いして、月次の試算表(その月ごとに出す決算書のようなもの)をもらって、純利益で一喜一憂する、ということになっていないでしょうか?
固定の経理職員と言わずとも、表計算ソフトのExcel(エクセル)を使用できる社員がいれば「製造原価の変動」や「得意先別の売上高の前年対比」などの分析が可能となります。これも立派なデジタル化です。
状況の見える化
飲食店などがわかりやすいですが、業種によっては、状況に応じての対応が素早く求められます。
コロナが引き金となりファーストフード店が盛況ですが、私の住んでいる大分市では、ドライブスルーの行列ができるようになり、一つの車線のみ大渋滞ということがあります。このような事態が発生しているかどうかは、店舗の中にいては気づきにくく、思わぬクレームを引き起こしかねません。
そのようなときに、例えばですが、外側にカメラを置き、内部で見れるようにしておけばどうでしょうか。やばい、と思ったときにドライブスルーの人員を多めに配置して回すということができるかもしれません。(というか、実際にそうしているかもしれません。)
また、そこまで緊急性がないところでも、チャットツールなどをうまく利用することによって誰でも状況を把握できるようになります。
このように、デジタル化によって、それまで事後に気づいていたものがリアルタイムに把握でき、経営判断に結びついていきます。
自動化
自動化、というといかにも数千万円かけて全自動でやってしまうような大掛かりなものを想像しがちですが、小規模企業にとっての自動化はもっとコストの低い領域での話となってきます。
見積もり計算
業種にもよりますが、見積もるために必要な項目数が多ければ多いほどソフトウェアなどでの自動化が難しく、ローカルルールも多いため、結局手計算になってしまいます。営業担当がそれぞれやっている場合もありますし、事務方や、場合によっては社長でないとわからないなどの理由で一人に負担が集中するケースもあります。
「その人でないとできない」という状況を「属人化」と言いますが、非常に危険な状態で、急な退職や入院になると社内が一気にパニックになります。
受注量があまりに多い場合には専用のシステムも必要かもしれませんが、個別の見積もり計算であればExcelでも十分対応可能です。見積もりにかけていた時間と、ミスで対応に追われる時間を省略化できれば、他の業務に集中できるようになります。
メール配信
顧客あてにメールを定期的に配信したい、というケースもあるかと思います。また、商品を購入した顧客に使用法などを順番に配信してリピーター化したい、ということも考えられます。
10人程度であれば自力でメールを送信することもできますが、100人以上などになると手に負えません。
そのようなときも、「メルマガ配信システム」を利用すれば、一斉にメールが送信できたり、条件付けをすれば「特定の顧客に、毎週月曜日に順番にメールを送信する」という設定ができたりします。
営業面の話をすると、接触回数の多さは結果につながりやすいので、直接訪問が厳しい時でもこのようにしてシステムを利用することでアシストが可能となります。
在庫管理
直接的な売り上げにかかわらないのに必要な作業の代表格が在庫管理です。発注のロスを防ぐために必須ですが、これも非常に属人化しやすいものになります。
RFIDと言われるICタグやバーコードなどでの管理もありますが、それ以外にも様々な手法で在庫管理を自動化しようと試みられています。
このように、属人化しやすい業務を自動化することで、純粋な手間の削減と、万が一の際のトラブルを未然に防ぐことができます。
広域化
デジタルの代表格と言えるのが、みなさんご存じの「インターネット」です。
今まで地場の顧客中心のアプローチだったものが、大きく広がりを見せています。
ECサイト
ECサイトとは、ざっくり言ってしまえば、「購買ができるWEBサイト」のことです。大手で言うと「Amazon」や「楽天市場」などがそれに当てはまります。
ただ、この手の大手は手数料が大きく、送料など、様々な面で従わざるを得ない場合がありますので、自社でECサイトを持つ企業が増えてきています。
商品の見せ方やプロモーションなど、大手に比べて大変な面はありますが、上手に活用することで、プラスアルファの売り上げが見込める可能性もあります。
宣伝(プロモーション)
どの業種でも、基本的に顧客が見つからなければなり立ちません。
以前は新聞・TVの広告やフリ-ペーパーなどが主流でしたが、現在ではインターネット上に広告を出したり、自前のホームページをアピールすることで問い合わせを増やしている企業が多くなっています。
しかし、小規模企業にとってはこの予算がなかなか割きにくいのが実情です。そのため、動画共有サイトのYouTubeなどで、無料でプロモーションを仕掛け、低コストでの宣伝を行っています。
他にもtwitter,facebook,instagramなどがありますので、ターゲット層に合わせて使い分けることが大切となっています。
資金力の少ない小規模企業だからこそ、このようなパワーゲームにならない土俵で頑張るべきだと思っています。
共有化
最後に、デジタル化によって最も実現されたと感じるのが「共有化」です。
自動化のくだりで「属人化」が危険だとお伝えしましたが、この「共有化」はその対極にあるものだといってよいでしょう。
データの共有化
「ファイルサーバー」「クラウドストレージ」などの言葉は聞かれたことがあるでしょうか。もしくは、すでに導入されているかもしれません。
それぞれ全く違う内容ではありますが、役割は「ほかの人、もしくはデバイスと内容を共有する」というものです。
例えば、今まで顧客に商品の説明をするのにノートパソコンなどを使用して、出先でプレゼンをしたりというケースもありましたが、万が一そのデータを入れ忘れてしまうと、プレゼン資料がなく、顔面蒼白になってしまうかもしれません。
そのようなときにクラウド上で保存しておけば、出先でも簡単に呼び出せます。また、万が一クラウドにも入れ忘れてしまった場合でも社内スタッフに「あの資料クラウドに入れて!」とお願いすれば、その場で呼び出すことも可能です。
このようなファイルの共有化は、行動範囲を飛躍的に広げることができます。
文書の電子化
コロナ禍で、「持続化給付金」「家賃給付金」を申請された方も多いのではないでしょうか。
給付金に限ったことではありませんが、昔の書類が急に必要になったときに出てこない、というのはよくある話です。
そういったときに文書をスキャンして保管しておくことで、必要な文書をすぐに見つけることができます。
「絶対に紙ベースでの保管が必要な文書」「電子で内容がわかればよい文書」と分けて保管するだけでも、社内の文書管理は格段に楽になります。
「デジタル化で何ができるか」を知るのが第一歩です!
デジタル化で何ができるか、というテーマで、一通り解説しました。
「中小企業」とひとくくりされていますが、いわゆる中規模企業と小規模企業ではかけることのできる投資額に大きな開きがあります。
そのため、小規模事業者は「デジタル化なんて言っても俺らは関係ないよ」となりがちです。
しかし、小規模事業者でも利用できるサービスや手法は日々進化してリリースされていますので、もしこの記事にあるようなことを実現したい場合はぜひ、「デジタル化できないかな?」と探してみてください。
もちろん、私の本業は「小規模企業のデジタル化をサポートする」ことですので、気になることがあれば気軽にご相談ください。
わざわざ問い合わせるのはちょっと・・・という方はツイッターもやってますので、ダイレクトメール機能を使って質問していただいて構いません。
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